桜乃争奪戦・後編
「おい、どうすんだよ、こんなガキまで連れて来て」
「仕方ねぇだろ? 顔見られちまったから、取り敢えず持って来たんだ…けどまぁ、ここまで来たら帰すワケにもいかねぇだろ…今すぐにやるか?」
「待てよ、下手にやったら証拠が残るだろ?…取引が終わった後にでも処分しよう。丁度ここは海に近いし、石でも付けて投げ込みゃあ、アシもつかねぇよ…」
幸村達が倉庫を発見し、ついでに青学のお騒がせ一年を確保していた一方で、その倉庫の一室ではそんな物騒な会話が繰り広げられていた。
見た目は非常に若い…二十代の男達と思われる六人が、一室でたむろしている。
車に乗っていたのは確かに二人だったが、ここにいるのは六人。
他の四人は別の手段でここに来ていたらしいが、無論、それはまだ幸村達の知るところではなかった。
或る者は煙草を咥え、或る者は目の前の鞄の中に詰められた白い薬の山を、薄笑いをして眺めている。
いかにも不健康そうな男達だが、それはどうやら見た目だけではないらしい。
「あっちのグループにはもう連絡がついてんだろ? 午後三時って言うと、もうすぐだ。こんだけあれば、結構ぼったくれるだろう」
「危ない橋渡ってんだ、トーゼンの報酬だよ」
性格も不健康極まりない男達だったが、その部屋の中で、一人、彼らと明らかにそぐわない存在もいた。
竜崎桜乃だ。
後ろ手に縛られ、部屋の奥に転がされている少女は、まだ気を失っている様子だった。
しかし、彼らの会話の内容を考えると、失っていた方が幸せだっただろう。
そんな彼らの部屋には、一枚の固く閉じられた鉄製の扉と、小さな、海が見える窓しか外界への通路は存在していない。
窓は人一人も通れない程に小さく、かろうじて外の空き地と海が見渡せる程度で、一階でありながらも、そこを割っても外への脱出は望めない。
『……』
その窓の縁から、部屋の中をこそりと覗き込む一人の人影…丸井だった。
きょろっと部屋の中を覗き込み、男達に気付かれないように人数を確認し、最後に桜乃の姿を見て瞳を大きく見開いた彼は、すぅっと壁の向こうに動いて窓から一切の気配を消した。
そしてたーっと静かに倉庫の壁に沿って走り、元の入り口近くまで戻ってくると、待機していた仲間達と合流した。
「いた! おさげちゃん、気を失ってるみたいだけど無事だった! 全員で六人いるよい!」
「六人?」
「ああ!」
「ふむ…車内には二人とあったが…少々厄介だな、作戦に手直しが必要だ」
柳が報告を受け、倉庫の壁に貼られたプラボードを見上げた。
それには倉庫の中の見取り図が描かれており、所々は錆びて隠れていたものの、十分にその用を為している。
倉庫の中は殆どは広場の様な空間が占めているが、奥の一角に幾つかの部屋があるらしい、きっと密閉性が必要とされていたか、或いは重要で高価な物が保管されていた場所だろう。
その内の一室が、敵の根城だ。
他の部屋には窓というものが無いらしく、扉を閉めれば真っ暗闇になってしまう事から、あの部屋が選ばれたのは至極当然の結果とも言えた。
「…普通は数人を見張りにつけるものだが、そんな様子は一切見えない…余程見つかっていないという自信があるのか?」
「近年稀に見るバカじゃの。車もナンバープレートぐらいフツー外しとくもんじゃ」
中学生の自分達にあっさりこうして見つかっているなど、恥の極みだ…と見つけた側が呆れている間に、柳の頭脳の中で幾通りものパターンが計算されていき、最終的に彼はこくんと頷いた。
「銃らしいものは持ってはいないということだったが、安心は出来ない…先ずは一人程おびき出して、データを得よう」
取引の時間を間近に控えた謎の男達の耳に、異様な音が聞こえてきたのはそれから間もなくだった。
ガシャ――――――ン!
「ん?」
「何だあの音は…」
聞こえてきた耳障りな音は、何かの金属が叩かれた様なそれだった。
しかも、場所が酷く近い。
「誰かいるのか!?」
まずいぞ、どうする…と話している間に、もう一度同じ金属音が響く。
焦った男達の一人が僅かに扉を開けて、倉庫の入り口を覗き見ると、逆光だが一人の人影が見えた。
全身ではない、半分しかシャッターは開けられておらず、足しか見えなかったが、確かに二本のそれが向こうでうろうろと動いていたから、判別出来たのだ。
警察とか、自分達に明らかに不利益な人物ではないように見えるが…
「何か、変な奴がうろついてる…」
「おい、人がいたらアイツラも警戒して来ねぇぞ? どうすんだよ、取引がパーになったら…」
「いや、一人だし、小せぇ…子供ならちょっと脅してやれば大丈夫だろ。行って来る」
折角の取引が一度潰れたら、今日入る筈だった大金がおじゃんになる。
この商品を手に入れるのに、どれだけ苦労したか…諦めるなど真っ平ゴメンだ!
明らかに悪事を働いている人間に最も求められるのは慎重性であるにも関わらず、彼らの誰一人、取引の延期を訴える人物はいなかった。
目の前の金がただ欲しい、出来れば早く苦労もせずに…そんな浅はかな集団では、そんな気の利いた案一つ、浮かばなかったのだ。
それが、彼らの誤算の始まりでもあった。
「あ? 何だお前…」
一人が扉から出てきて、シャッターへと近づきそれをくぐると、眩しい日光の下に立っていた一人の少年を見つける事が出来た。
白い帽子にテニスウェア…もし彼が桜乃をさらった内の一人であれば、何かの繋がりを感じることが出来たかもしれなかったのだが、生憎、その望みは絶たれた。
別ルートで合流した組の方だった男は、越前を見ても、近所の子供ぐらいにしか考えなかったのだ。
「おいガキ、何してんだよ! うるせえんだよ!!」
脅せばすぐにいなくなる…と考えていた白い帽子の少年は、男のその言葉を聞いても少しも怯まず、手にしていたラケットを下ろし、向かってきたボールを器用にそれで受け止めた。
「…壁打ち」
「はぁ?」
「ここ、いい練習場になるから」
少年は、帽子の下から生意気そうな視線を男に向け、続いてシャッターをラケットで指した。
どうやら今まで聞こえていたのは、少年がシャッターを相手に壁打ちをしていたものらしい。
壁ではなく、わざわざシャッター…
男は、イラッとした。
向こうがこちらの状況を知る筈がないし、合わせる義務がないのは当然の話なのだが、それでも彼の様な人間はいる。
自分の思い通りにならないと勝手に立腹し、しかも全ての責任を他人に押し付ける、一番厄介で迷惑な存在だ。
「おい、ここは今日は立ち入り禁止だ。とっとと消えな、邪魔なんだよ」
「…友達がいないんだけど、見なかった?」
少年はこちらの話に耳を貸す気配も無く、一方的に質問をぶつけてきて、それが更に男の苛立ちを増幅させた。
本当に、少し痛い目に遭わせてやるか…それとも、あの小娘と一緒に始末しちまっても同じか。
「お前、人のハナシを聞いてねぇの?」
彼の言葉に荒々しい感情が宿り、その身体が少年へと一歩近づいたのを合図に、相手は顔を上げて帽子の下の瞳を楽しそうに揺らした。
「おさげの子、なんだけどさ」
「なに…?」
男の脳裏にさらった少女の姿が一瞬浮かび、それはそのまま男の動揺と焦燥に繋がり、最終的に隙を生む形となった。
そう、シャッターの影に既に潜んでいた、もう一人の存在に突かれるには十分な…
「隙ありっ!」
びしっ!!と鋭い一閃で、背後からラケットの縁で首を打たれ、哀れ男は声も無く倒れてしまう。
「ふん、気配も読めんとは未熟者が」
「アンタがバケモノなだけッスよ…」
囮になった越前と一撃を食らわせた真田が、そのままずるずると男を引きずって倉庫の陰へと移動し、他の男達と合流する。
「連れて来た」
「よーし、良心は痛むけど洗いざらい吐いてもらおう!」
痛むと言っていながら、切原の顔は満面の笑みで称えられている。
最早、この状況を見る限りでは、どちらが悪役か分からない…
「時間は貴重だ。なるべく早めに頼む」
「おう」
越前の前で、柳の指示を受けたジャッカルや切原達が男を更に引きずって更に奥へと移動していくと、程なく向こうから不審な物音がどたばたと聞こえてきた…妙に鬼気迫る声と一緒に。
『てめぇよくもウチのモンさらってくれたなぁ!!』
『下手に隠し立てしたらコンクリのおくく履かせて東京湾ぞコラァ!!』
『イマドキの未成年ナメんなよ―――いっ!!』
『ぎゃああああああああ―――――――っ!!!』
「…………」
何が起こっているのか、何となく分かりはするが、分かりたくない…と思いつつ、越前は敢えて視線を逸らし、そこで何事もない様に間取りの図を見上げながら話し合っている立海首脳陣へと目を向けた。
「あの…あの人達ってさ…」
「うん、あれでもちゃんと加減はしてるから大丈夫」
幸村は最早視線すら寄越さず、笑みさえ浮かべている。
まるであれが、彼らの楽しいじゃれあいであると言うかの様に。
(立海って…)
こんな人達に悪逆非道なんて言われたくない…と思っていたところで、再び消えていた立海メンバーが、すっきり爽やかな顔で戻って来た。
「柳〜、銃の類は持ってないらしいぜ」
「なんか、三時から合成麻薬の取引でここが使われる予定だって」
「一応アイツは裸にひん剥いて、ふんじばって転がしといたけどよい」
「ご苦労様でした、で、どうします? 柳参謀」
「あと五人か…もう少し誘い出して人数を削りたいところだな。上手く騙してこちらに何人か誘えば、俺達でも何とかなるだろう…」
「騙して…か…」
『…………』
一語句に反応して皆が視線を向けたのは、言うまでも無く『コート上の詐欺師』だった。
全員の視線を一身に受けても詐欺師は別に嫌がる様子もなく、やむをえんか、と余裕の笑みを浮かべてみせる。
「…はぁ、分かった分かった、やればいいんじゃろ? 全く、これでまた品行方正で知られた俺の名が泣くぜよ」
「いや、その場合、泣くのは品行方正って名前そのものだろ」
冷静な突っ込みをジャッカルがしている向こうで、仁王は先程の男からむしりとった服の内、コートを羽織って立ち上がった。
「…ま、素人相手なら俺の敵じゃなかろ…ついでに頂きたいモンもあるしのう」
「おい、遅いなアイツ」
「何やってんだよ…」
そんな仲間の悲劇は露知らず、部屋の中の五人が苛立ちを募らせていたところに、
『オ―――――イ! 悪い、ちょっと二人ぐらい手ぇ貸してくれよ!』
と、扉の外から男性の呼び声が聞こえてきた。
「…?」
『ガキが車にイタズラしてやがったんだ! 念の為にちょっと見てくれねぇか!?』
扉を通してもよく響く声が、明らかに自分達へと向けられているものだと分かった五人は、互いに顔を見合わせた。
「アイツか…?」
「だろうよ、何だ、さっきの音はガキの仕業だったのか?」
扉越しではあるが、確かにあの声は仲間のもので、他に覚えもない。
しかし、車にイタズラとはどういう意味だろうか?
「ちっ、車に何かあれば厄介だからな。ここ辺りじゃ新しいのを拝借するのも難しそうだし、ちょっと見て来い」
どうやらあの車の正規の所有者も彼らの中にはいないらしく、乾の予想は見事に当たっていた。
部屋の奥にいた茶髪の男が、車の鍵と思しき物を扉近くにいた一人に投げて渡すと、彼ともう一人、近くにいた男が、面倒臭そうに動いて扉の向こうへと出て行った。
彼らの頭の中では、二人が車の確認をした後に、先に出て行ったあの声の持ち主と一緒に戻って来ることになっていた…そうでなければならなかったのだが、それを阻む存在は既にすぐ傍まで忍び寄っていたのだ。
「おい、車がどうなったって?」
『あー悪い、ちょっとボンネットの中を覗いてたバカがいやがったんだよ! 多分大丈夫だと思うけどよぉ、一回エンジンかけてみてくれよ。あと、悪いんだけど中から発炎筒でも持って来てくれねぇ?』
声の主はシャッターの外で待っているのかと思いきや、倉庫の暗がりの中、がちゃがちゃと隅の方で何かを探し回っていた。
暗くてよく見えなかったが、確かに見えるコートは仲間のものだ。
『一応、念の為に工具探してんだけど、電気が来てねぇから暗くてよぉ…あーっムカつく!! もう二、三発殴っときゃよかったぜあのクソガキ!!』
暗がりの中での作業に苛々とした口調で愚痴る相手に、二人はにやにやと笑みを浮かべて言い返した。
「おいおい、ちょっとやり過ぎじゃねぇか? そりゃあ」
『ああ!? 何でだよ、どうせ貰うモン貰ったらトンズラするだけだろ? ナニをガキに遠慮する必要があるよ』
「へっ、そりゃあそうだけどな…じゃあ待ってろ、すぐ持って来てやるからよ」
二人は暗闇の仲間を残して取り敢えず車に移動すると、鍵を開けて中に乗り込み、エンジンをかける…が…
「お、おい…?」
「何だよ、かからねぇじゃんか!?」
何度繰り返して鍵を回してみてもエンジンが一向にかかる気配はなく、不機嫌な音を上げるばかりだった。
「くそっ! そのふざけたガキがやりやがったな!?」
「どうする!?」
「しょうがねぇ、直せるならやってみよう」
あの仲間を手伝い、工具を見つけるしかないと判断した運転席の男は、ダッシュボードを開けて中をあさり、発炎筒を取り出して助手席の仲間に押し付けた。
「これ持ってけ、道具見つけたらすぐに持って来いよ!」
受け取った方は助手席から降りると、シャッターを再びくぐってあの例の仲間の所へと走っていった。
「おい、持ってきたぞ!」
「ああ、すまねぇな…」
腰程の高さがある木箱の中に頭を突っ込み工具を探していた男が、発炎筒を後ろ手に受け取ると同時に、ぐいっと上体を起こして姿勢を正す。
しかし、その頭は見覚えの無い銀色に彩られていた。
「え…?」
一瞬、何が起こっているのか理解出来なかった男に、銀髪の若者は笑いながら振り向き、今度は違う声でねぎらった…全く知らない顔で。
「ご苦労さん」
がすっ!!
「っ!!」
その言葉の直後に痛烈な感謝の一撃を発炎筒で浴びせ、仁王は倒れる男を侮蔑の瞳で眺めていた。
意識を失った相手が動かないのを確認し、シャッターの外へと足を向けると…
「おーう、早かったのう」
車の中に残っていたもう一人の男もそこから引きずり出され、柳に腕を掴まれる形で身体を地面に投げ出し、完全にのびていた。
「威勢がいい割にはあっけなかったな…まぁ有り難い事だが。仁王、発炎筒は?」
「ここじゃよ。流石の俺も準備もなしで車の鍵までは開けられん。精進せんとな」
(ナニを精進するつもりなんだろう…)
彼らの会話を、あからさまに不審そうな目を向けて聞いていた越前は、思い出した様に仁王に質問した。
「…エンジンって、本当に壊したの?」
「いや? 止めるのは簡単じゃよ。排気口を塞げば勝手に掛からんようになるんじゃ。車見つけた時に、石詰めといてやったからの。お婆ちゃんの知恵袋じゃ、お前さんも覚えといたらええ」
(アンタのお婆ちゃんってそんなコトするんだ…)
取り敢えず、答えは返さないでおいた越前の肩を、幸村が後ろから叩いて注意を促した。
「さて、もう一頑張りしてもらうよ、越前君。最初に話していた通りに…出来るかい?」
「…アンタこそ、大丈夫なの?」
「ふふ…さぁね」
くす…と笑う幸村は、言葉とは裏腹に不安など微塵もない様子で真田へと振り向く。
「あと三人だ。どうやら警察は最後まで間に合わなかったね…仕方ない、始めようか」
「……」
最後の仕上げを幸村達が画策している頃、あの部屋の中で遂に竜崎の意識が戻っていた。
何か、話し声がしているのに気付き、ゆっくりと目を開ける。
瞳に映ったのは、無機質で味気ないコンクリートの床と、薄汚れた壁だった。
縄で縛られ、動けない状態で壁を向く形で転がされていた少女は、起きてもしばらく何が起こっているのか判断出来なかった。
「全く…バイト先にブツ隠したのは良かったが、こんなお荷物まで抱えることになるたぁな」
「いいじゃねぇか、けっこー発育良さそうだし、始末する前にお楽しみって手もあるぜ? ま、全部終わるまでは念の為に人質してもらうけど…」
『人質』という言葉が桜乃の意識を一気に覚醒させ、それは同時に彼女の気を失う間際の記憶まで呼び起こした。
そうだ…私…って事は、私は今…誰かの人質に…!?
「……っ!」
声を殺し、ゆっくりと首を動かして逆の方を見ると、三人の若い男達が思い思いの格好で狭く薄暗い部屋の中でたむろしている。
声を掛けようか…とも思ったが、何となくそれは却って自分への注意を引きつける事にもなると思い、桜乃はぎゅ、と再び目を閉じ、気を失った振りを続けた。
(助けて……恐い……!!)
本当は叫びたかった…
身体が震えそうになるのを必死に堪えて、桜乃は泣き出したい気持ちも抑えつける。
ただ、唯一自由な心の中で何度も助けを呼んだ。
(助けて…リョーマ君!!)
「…ん?」
部屋に残っていた三人が、次なる異変に気付いた切っ掛けは、そんな桜乃ではなく『匂い』と『視界』だった。
「何か…変なニオイがしないか?」
「ああ……それに何となく、煙ってるような…」
その感覚は、誤りではなかった。
「…・っ! オイ! あれっ」
一人が、扉の隙間を見てひきつった声を上げて指差した先には、隙間から清流の様に流れ込む白煙と輝く光があった。
『火事だっ!!』
「なにぃ!?」
外から聞こえる叫び声に、部屋の中の三人は当然慌てた。
何しろ今いる場所はほぼ密閉された空間で、窓も脱出のための通路には小さすぎて役立たない。
しかも倉庫の一番奥に配置された場所であり、下手に逃げ遅れたら…
『火事だーっ!! 早く逃げろ!!』
外から聞こえる仲間のものと思しき切羽詰った叫び声も、男達の焦燥感と危機感を十分に煽り、考える余裕さえ奪った。
「早く! 早く開けろっ!」
「待てって…よし、開いた!!」
それこそが謀略だと気付きもせず扉に近かった男達が慌てて鍵を開け、がちゃりと重い扉を開くと、確かに白い煙が立ち昇っていた。
しかし何故か火事特有の炎や熱の類は一切無く、それらの代わりと言うかのように、煙の中、扉の前に一人の若者が微笑んで立っていた。
「どうも」
「え?」
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