「おう、どうじゃ? 見つかったかの」
「いやぁ、それがさっぱり…」
「…丸井君」
「い、いーじゃねぇかよぃ! 食欲満たさねーと集中力も続かねーんだもん!」
 やれやれ、と呆れ顔の柳生に、たこ焼きたちを抱えた丸井が必死に反論している隣で、ジャッカルと仁王は比較的真面目な様子で状況を報告し合っていた。
「結構広い境内じゃから、少しは時間もかかると思っとったが…八人いてまだ見つからんのは意外じゃったな……さっき幸村達とも会ったが、やはり見つけてはおらん様じゃ」
「…切原は?」
「ん? 見とらんのか?」
「ありゃ…? 何処に行ったんだぃ?」
 先輩達が後輩の行き先を思案していた頃、その後輩本人は別に捜索をサボっていた訳ではなく、単純に人の流れに流されるままに境内を彷徨っていた。
「ん〜…こういうトコロに来たら、屋台の食い物もそうだけどコッチにも目がいくよなぁ…特に女って、占いの類とか好きそうだし…」
 切原がいたのは、境内の中でも人の流れが特に激しい授与所だった。
 所謂、お守りや神札を授ける場所であり、こういう場所には大体何処の神社にもおみくじというものが置かれているのだ。
 もしかしたら桜乃もこれを目当てにここに来ているかもしれない、という予想の下に、切原は取り敢えず、その場に留まりつつ辺りの様子を伺ってみる。
 自分の予想に違わず、そこは多くの客に溢れ、立海の生徒らしき女子もいたのだが、肝心のあの子の姿は見えない。
 軽く見渡しただけだが、確かに男性よりも女性の割合が多そうだ。
「ん〜〜」
「何を御希望でしょうか?」
 不意に前の方から女性の声が降って来た。
 見ると、いつの間にか先に進み、授与所の窓口の前まで来てしまっている。
 どうやら、お守りなどを買う客と間違われてしまったらしい。
「あ? ああ、ワリ、俺は別に…」
 ふいっと顔を上げると、受付をしていた若い巫女がこちらを見下ろしてきて、視線が合った。
(うおお!!)
 ものっすごい美人!
 白衣と緋袴が目に眩しい、檀紙と水引を付けた黒髪の日本美女…これぞ正に大和撫子!
「…・あり?」
 そんな美女を見たにも関わらず、何故か心は落ち着いているような…まるで見たことある人に会ったというか…と言うか、この巫女…よく見ると……
 切原が反応を示す前に、その相手である巫女が彼の顔を確認した途端、きゃああと小さな悲鳴が上がった。
「きっ…切原先輩!?」
「やっぱ竜崎〜〜〜っ!!!???」
 探していた少女を、意外な場所で発見!!
 どっひゃ〜〜〜!!と驚く若者は驚きながら改めて相手の姿を凝視してしまった。
 肌の白さと並ぶまっさらな白衣と、その襟元に少しだけ覗く襦袢…目にも鮮やかな緋袴の両のスリットから見える白衣が、やけに色っぽく見えて、若者の脳髄に派手な蹴りをかましてしまう。
 おさげを解いた髪を遊ばせたままでなく、後ろで括っている姿もまた…
「みっ…巫女さ…」
 全ての台詞を言う前に、男は俯いて鼻血を押さえる。
 何で彼女がここでこういう姿をしているのかという疑問より先に、姿の鑑賞に意識が行ってしまったのがまずかった…
(くっそ〜〜〜〜!! 不意打ち喰らった〜〜〜〜! 可愛いじゃねーか畜生っ!)
「だ、大丈夫ですか、切原先輩…もしかして石段急いで登ってきたとか!?」
「あー、大丈夫大丈夫…それより竜崎」
「はい?」

 かしゃっ

 顔を上げながら、男は持っていた携帯を相手に向けて即座にその姿をカメラで撮影すると、くるっと後ろを向いてむにむにむに…と携帯を弄り出した。
「何撮ってるんですか〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」
「…送信」
「何処に〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!???」
 やめてぇ〜〜〜〜〜!と必死に止めた言葉も空しく、見えない手紙が一斉に空に向かって飛んでいく。
 その行き先は、無論、一緒にこの子を探している先輩達だった。
 あの写メールを見たら、彼等がどういう行動に出るか…自分じゃなくても想像は容易に出来る。
「切原先輩〜〜〜〜〜っ!」
「いーじゃねーか折角の記念なんだし…あ、失礼また」
 再び相手に視線をやったことで、切原がまた鼻を押さえる。
 いつもは生意気盛りの若者でも、やはりそっちの面では純情らしい…或る意味、あの元副部長とは気が合いそうだ。
「……ハンカチどうぞ」
 言いたい事はあったのだろうが、目の前で流血されたら流石にそちらが気になる。
 なまじ性格が優しかった所為で、桜乃はそれ以上の非難の言葉を封じられてしまった。
「わりーわりー」
「…ヘンなトコロに送ったんじゃないでしょうね…妙な投稿サイトとか…」
「ばっ…ンなトコに送るかよ! 下手してデータ流出されたら厄介だろ…あーでもなぁ」
「?」
「…データ流出はねーけど、未来永久保存版は間違いねーから」
 びしっと切原が指差した先には、彼から送られた写メールを見て大興奮状態の他のメンバーが、こちらに向かってずどどどどっ!と突進してくる姿があった。
(どっちもイヤ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!)


「臨時バイト!? 春休み期間中でか!?」
 それから皆が落ち着くには多少の時間を要し…桜乃が昼休みをもらえたところで、全員は境内の一画の芝生のところで座り込んでいた。
 学生服姿の男性陣の中に混じり、一人の巫女…少し奇妙な光景ではある。
「な…内緒にしておこうと思ったのに…」
 先程から、巫女バイトがばれてしまった桜乃は俯きがちになってしくしくと嘆いている。
「届出は…」
「してます〜」
「ふむ…ならば俺が言うことはないが…」
 正規の手続きに則っているのならば、自分が口を挟む話ではないと真田は判断しながらも…
「……」
 周囲の客の…特に男性陣の桜乃に向ける視線を意識すると、心情的にはあっさりと受け入れる事も出来ないらしく、何となく渋い表情を浮かべている。
 内心は、妙齢の娘、妹を持った父親や兄のような複雑な気分…なのかもしれない。
「別に隠す事はないと思うけど…可愛いんだし」
「だって……恥ずかしいですもん…」
 屋台で買った串団子を、はい、と桜乃に差し出しながら、幸村は穏やかな笑顔で言った。
 恋人とのデート疑惑が晴れたからか、珍しい巫女スタイルを堪能出来たからか、切原のグッジョブな写メールを受け取ったからか、何となくいつもよりご機嫌の様子だ。
 そんな彼の少し離れたところでは、早速、仁王達が受け取った写真を壁紙設定している。
「けどさぁ、どうしていきなりこんなバイト〜? もしかして小遣い足んねーのぃ? おさげちゃん」
「いえ…お金が欲しい訳じゃないんですけど…部活の時間以外で出来るし、勉強になりそうですし…そのう、巫女さんの服って可愛いですから、一回着てみたくて…」
 確かに可愛い…と男達も例外なくそれについては同意する。
 しかしそれは巫女装束に対して、と言うよりも『桜乃の』巫女姿という意味であるが。
「そ、そっか、それでか〜」
 はは〜と笑う切原はどうやらようやく鼻血が止まった様子である。
「…皆さんは今日はどうしてこちらに? 花祭りですか?」

 ぎくっ…

 まさか『君の恋路を邪魔しに来ました』などと言える訳がない。
「…まぁ、興味があったものでな…お前を見つけたのは偶然だが」
「はぁ」
 柳の微妙な返答で上手く誤魔化すと、彼らはそこで屋台の食べ物を昼ご飯に、桜乃とのんびりとした一時を過ごし始めた。
 それにしても、巫女姿も本当によく似合っている。
 生身の恋人ではなく、相手が神であるのならまぁいいだろう…デートというものでもないし。
「しかしまぁ…」
 お好み焼きを頬張りながら、ジャッカルが幸村達と談笑している桜乃の姿をじーっと見つめて一言。
「…メイドの次は巫女さんかぁ…本人が深く考えなくても、何つーかコスプレ要素満載って感じだなぁ」
「俺は目で見て楽しめるから別にいいがの」
「あ、俺にも後でデータ下さいッス」
 どれもう一枚…と携帯のカメラレンズをこっそり少女に向けている銀髪の男は、楽しそうに唇を歪めている。
「で? 巫女の仕事というのは、授与所の受付が主なのですか?」
 柳生が桜乃に尋ねると、相手はんーと少し考えてから答えた。
「大体はそうですけど、時間があったら社のお掃除とかもすることになりそうです。簡単な草むしりとか掃き掃除ぐらいですけど…」
「成る程…想像すると、それだけでも絵になりそうですね…」
「い、嫌ですね、そんな大したものじゃありませんよ」
(いや、大したもんだろう、十分…)
 周りの男達の注目振りを見ていると、そう思わざるをえない、とジャッカルは内心思った。
 彼女は本当に天然過ぎる程の人生を生きてきたのだろう…自分にこれだけの視線が集まっているなど、想像もしていないに違いない…普段のおさげによるカモフラージュで。
 しかし…そうなると、この春休み中、この格好で神社にいるとなると…しかも、一人で掃除とかで外を歩くとなると…
(ソッチの方がよっぽど危険じゃねぇか? まぁでも、それで気の合う誰かと知り合う縁が出来たら、それはまた神様のお導きってヤツかもしれないけど…)
 あーんと最後のお好み焼きの一切れを口に運びながら桜乃へと視線を向けたところで、彼は思わずそれを喉に詰まらせそうになってしまう。
 きっと、自分と同じ様な予想が頭の中を過ぎったに違いない立海大附属中学の元三強が、恐ろしい程の刺々しいオーラを出していた。
 無論、一般人には見えない…自分達の様な付き合いの長い者にしか感じられないものであり、傍の桜乃は全く気付いていない様子でほのぼのとくつろいでいる。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 いきなり挙動不審になり、仁王や切原や丸井に目を向けながら何かを訴えようとした彼だったが、周囲の親友達もあの三人と同様だったため、ジャッカルは更に慄いてしまった。
「…春になると、ヤバイ奴らも増えるからのう…」
「サカリのついた猫の様に寄られるのは、甚だ不愉快ですね…巫女である以上は純粋でいてもらわなければ」
「おさげちゃんにはこれからも俺達の傍にいてもらわなきゃなー、可愛い妹だもん」
「とーぜんッスね…今の時期からマネージャーに、他の男にうつつ抜かされる訳にはいかないし。ソッチ優先でマネージャー辞められる訳にもいかないし…気合入れて潰すッスよ〜〜」
(神の導きが寄る隙間もなしかよっ!!!)
 だらだらと冷や汗を流している良識者のジャッカルの視界の向こうでは、三強が早くも予防柵を築こうと謀略を巡らせていた。
『部活動が終わったら、誰か一人は彼女の目付けをするようにしない? 怪しい奴は髪の毛一筋近寄らせないように』
『問題ない、たかが二週間程度の休日だ。一人二回もやれば十分こなせる』
『軽い手伝いということであれば断られることもなかろう…地域との交流を図るとでも言えば、カモフラージュ、且つ、部の良いアピールにもなる』
 流石に抜け目がない完全な計画だ…断る部員もいないだろう……やや不本意ではあるが、自分も誘われたら乗ってしまうだろうし…
(…無力な俺を許せ…)
「? 桑原先輩どうしたんですか? お身体、調子悪いです?」
「あー…いや、ちょっとな……お好み焼きの紅生姜が効き過ぎて…」
 自分の不運に気付いていない様子の少女が憐れで、思わず涙を誘われそうになった男は必死にそれを誤魔化した。
 やっぱり、この調子だとこの娘が誰かと恋仲になる日は遥か彼方…もしかしたらイスカンダルぐらいまでいっちゃうかもしれない。
(けど、この中の誰も、竜崎を可愛がりこそすれ、恨んだりしてるワケじゃないんだよな〜〜)
 まぁ、悪い男が寄る隙がないのは、このご時勢では良い事なのかも…
「これ、美味しいですね〜」
「そう、まだあるからね、沢山食べていいよ」
 当の桜乃は、不運どころか大きな幸せを感じながら、『お兄ちゃん』達の惜しみない愛情を受け、まくまくまく、とお団子を食べていた…



 そうしている内に桜乃は再び授与所に詰め、お客の対応に追われる事になったが、特に大きな問題も無く、この日のお勤めは無事に終了した。
 何だかんだと理由をつけて彼女の傍でボディーガード役をこなした男達のお陰でもあったかもしれないが…
「すみませんー、待って頂いて」
「いや、色々と面白い店も見て回れたし、楽しかったよ。じゃあ、途中まで一緒に帰ろうか」
 巫女の姿からいつもの制服とおさげ姿に戻った桜乃は、待ってくれていた先輩達に囲まれると、一回そこで立ち止まってごそりと鞄を探り、二枚のお札を取り出し、一枚を幸村へと差し出した。
「幸村先輩、これ、先輩方の分です。高校のテニス部の部室に置いて下さい」
「? 何だい? お札?」
「必勝祈願のお札ですよー、今回の巫女のお手伝いのお礼に、祈祷してもらえたんです…はい、これは切原部長にですね、ウチの部室に置きましょう」
「えっ? マジで貰っていいの?」
「勿論! この為でもありましたから〜、常勝立海の勢いになってくれたらいいですけど」
 まさか、金が目的ではなかったというバイトの見返りというのは、これらのお札…?
「こ、こんな物の為にお前はバイトをしようと思ったのか? そんな神頼みをせずとも、俺達は実力で勝利を掴んでみせる」
「はい、真田先輩達なら絶対に出来ると思います」
 真田の言葉に桜乃は素直に頷きながらも、でも、と続けた。
「私には残念ですが、まだそこまで断言出来るものがありません。せいぜい少しだけ皆さんの力添えをすることぐらいです…だから、神頼みだってやりますよ。ちょっとミーハーな理由でやってみたバイトでしたけど、お金を貰うよりは、こっちの方が余程私にとっては嬉しいし。今日、皆さんが来て下さって、良かったです」
「……ああ、もう、君って」
 仕方がない子だ…という口調…しかしそこに万感を込めて、幸村がぎゅうっと桜乃を抱き締める。
「わ…」
「本当に良い子なんだから…」
 そして、ぽんぽんと背中を叩いてから身体を離すと、今度は同じ様に感動した丸井が桜乃に抱きついた。
「幸村ずっりー! 俺もおさげちゃんにいい子いい子する〜〜っ!」
「きゃ…!」
 続けざまに抱きつかれ、どぎまぎしている少女を、メンバー全員が嬉しそうな笑顔で見つめる。
「良いマネージャーだ。生まれついて、己が動いて初めて人が動くという事を分かっているのだな、お前は…嬉しい事だ」
「かつての俺であれば無駄な物と断じたかもしれんが…それだけの覚悟を見せられると余計に気が引き締まる…何よりその気持ちは貴いものだ…有難う」
 柳や真田も、幸村と同じ様に少女のひたむきな気持ちに心を動かされた様だ。
「あー困ったのう…これじゃあサボりたくてもサボれんよ。全く…難儀な子じゃ」
「元より負けるつもりはありませんでしたが…私の心にはまだ甘えがあったのかもしれません…目が覚めた思いです」
「部長の俺がなーんか形無しじゃん?…けど俄然、やる気は湧くけどな!」
 これからの立海伝説を確立するべく闘志を燃やしている皆を見ながら、ジャッカルが苦笑して桜乃に呟いた。
「…本当に、これじゃあ友人と遊んだり恋をしたりは当面望めなさそうだなぁ、竜崎」
「あは、そうかもしれませんね…でも、今はまだいいです」
「ん?」
「今は、皆さんと一緒にいるのが一番嬉しいし、楽しいですから。無理して恋をしたいとも思いませんし…まだ、皆さんの妹になっていてはいけませんか?」
「あ…いやぁ、そりゃあ歓迎、だが……本当にそれでいいのか?」
「はい!」
「…そうか」
 本人がそう言うのなら、無理強いさせることもないかもな…とひとまず納得。
 幸村達も、彼女がいる限りは普段よりもずっとやる気も湧くだろうし…
「とんだ、手間のかかる兄貴達を持ったもんだなぁ」
「あはは」
 楽しそうに笑った桜乃が、そうだ、とぽんと手を叩いてみんなに提案した。
「折角ここに揃いましたから、みんなでお参りして帰りませんか?」
「ああ…そう言えば、参拝してなかったね、色々と忙しくて」
「そうだな…ここまで来て挨拶をしないのもすっきりせん」
 元部長と元副部長があっさりと相手の提案を受け入れた事で、彼らは本殿へと向かい、ずらっと一列に横並びになった。
「じゃ、それぞれのお願いをしようか…常勝立海は彼女がもう願ってくれたし、俺達は自力本願でいくから、他の願い事をね」
『おう!』
 威勢のいい返事を返されたのを合図に、幸村の手が鈴を鳴らす。
 そして、揃って二拝…拍手を二度打ち…暫しの沈黙…彼らの脳裏でそれぞれの願いが唱えられた。
 最後にもう一度、一礼し、参拝は終了する。
 今までも経験のある行為ではあるが、何となくいつもとは違う感覚だったのは共通した感想の様だ。
「ちょ、ちょっと緊張しちゃいました…」
「ふふ、そうだね…」
 かちこちと肩を固くしている桜乃に頷いた幸村は、さぁ帰ろうかとみんなを促した。
 踵を返して歩き出す男達が、それぞれに声を掛けていく。
「何を願った?」
「それ、言ったら叶わなくなるんじゃねぇ?」
「神殿の前で誓った事は、親しい人にも…肉親であっても話してはいけないのだ。それぞれの胸の中に留め、そうなる様に努力していかなければならない」
「うええ…やっぱ努力は要るんスね」
「お前のような心掛けの人間の望みは、向こうも叶えたくないのではないか、赤也」
 思い思いの会話の中で、桜乃も微笑を浮かべながらそんな彼らの言葉に耳を傾ける。
「皆さんのお願いが叶ったらいいですねぇ」
「んー…ま、俺の勘じゃが…心配はいらんと思うよ?」
「わ…それなら嬉しいです」
「…お前さんが、お前さんのままでおる限りはの」
「?」
「はは…ま、深く考えんで、お前さんはこれからも笑っていたらええんじゃよ」
 詐欺師の不思議な笑みと言葉を受け止めながら、桜乃は優しい男達と共に石段を下って行った。


 もし…
 もし、本当に神という存在が神社に座していたのなら…きっと驚いたことだろう。
 人間でありながら示し合わせるでもなく、並んでいた若者達全員が、真摯に、同じ願いを届けてきたのだから。

『これからも、皆と仲良く…一緒にいられますように…』






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