湯煙旅情でハプニング(前編)


「あ〜〜、そこそこそこ、ぐーっとぐーっと…」
「お祖母ちゃん、また凝ってる〜〜」
 或る日の夜…
 青学の男子テニス部顧問である竜崎スミレは、いつもの様に入浴後、孫のマッサージを受けている最中だった。
 まだまだ血気盛んな彼女は、テニス部の指導をするに当たっては口より先に手が出るタイプ。
 日々、身体を積極的に動かして部活動に参加しているので、毎日健康を保てているのは有り難いことなのだが、それでも全てが問題なしという訳にはいかない。
 どうしても筋肉を酷使する事が多い為、それに伴う筋肉痛や肩凝りは専ら隠された悩みの種だった。
 それでも、同年代の女性と比べたら、程度の低さは話にならないのだが…
 そんな彼女の心強い味方は、風呂上りの習慣となっている可愛い孫娘の全身マッサージ。
 幼稚園の頃から家族に遊びでやっていたものだが、成長して力が強くなるにつれ、早くもその適性を見抜いた祖母からみっちりと教え込まれ、今はかなりの腕前である。
 お祖母ちゃんっ子の桜乃も、彼女にいつまでも健康でいて欲しいのと、純粋に喜んでもらえるのが嬉しくて、マッサージの本まで買い込んで日々努力を怠っていない。
 今や、学校でも女子の級友から頼まれる程の名マッサージ師である。
「んもう…お祖母ちゃんも、部活に熱心なのはいいけど程ほどにしてね? もう若くはないんだから」
「…何か言ったかい、桜乃」
「いいえー」
 どうせ言っても聞かないだろうな、と思っての一言だったので、桜乃は繰り返す事は止めた。
 丁度二人がいる居間では、タイミング良く、テレビで各地の温泉施設を紹介している特番が流れている。
「いいなぁ温泉…やっぱりお家のお風呂とは全然解放感が違うし、お食事も美味しいし、のんびり出来そう〜〜」
「…………ふむ」
 孫の一言を受けて、暫く画面を見ていた竜崎スミレは小さく唸った。
「温泉ね…疲れた身体を癒すのには丁度いいかもしれないね。確か、今年分の予算はまだ多少は余りがあった筈だから…」
「お祖母ちゃん…?」
 何の事かしら…と思った桜乃が声を掛けた時には、その女傑は既に一つの決定を下していた。
 上に立つべきものは、重大な決断を迅速に行わなければならない。
 その点でいけば、人間は高齢になればなる程に判断が遅延してしまいがちになる事を思えば、確かにこの竜崎スミレという人間にはその価値は十分にあった。
「決めたよ、残った夏休み期間を利用して、ウチの部員全員で温泉旅行に行こう」
「ええ!?」
「折角全国大会の優勝を成し遂げたんだから、ご褒美みたいなものがあってもいいさね。明日早速手塚からみんなに言ってもらおう…さて、そうと決まれば早速温泉宿を探さないと…」
 こうなったら、この祖母は何といわれようともてこでも動かない。
 生まれた時からの付き合いでその事を十分に分かっていた桜乃だったが、それでも一言注意せずにはいられなかった。
「んもうお祖母ちゃんったら、またそんな事を勝手決めちゃって…皆さんに迷惑かもしれないじゃない」
「ゆっくり休めるのに迷惑も何もあるもんかね…折角だ、暇ならお前もおいで」
 いきなりのスミレの発言に、桜乃は一瞬きょとーんとした。
「私も? いいの?」
「大会前にも色々と手伝ってくれたしね、皆も文句は言わないだろう。旅館に行ったら私は専門のマッサージ師にお願いするから、たまにはお前も羽を伸ばすといい」
「きゃあ、ありがとー!」
 てっきり自分は留守番組になると思っていた桜乃は大喜び。
 早速、何を持っていこうと思案する孫の姿を微笑ましく見ていたスミレは、しかし何か思うところがあったのか相手に尋ねた。
「……本当に暇なんだね」
「え?」
「まだ若いんだから、折角の夏休みに他にやることがあってもいいのにねぇ…アタシがお前ぐらいの頃には好きな子と色々と出かけたり…」
「お祖母ちゃんは積極的過ぎるの!」
 そんな大胆で恥ずかしいコト、恋人もいないのに出来る訳ないでしょ、と、桜乃がぷーっと頬を膨らませると、スミレはからかうようにおやそうかい、と笑った。
「……立海のあの子とは結構イイ感じなのにねぇ」
「おおお、お祖母ちゃんっ!!?? なな、何言ってるのよ、私と幸村さんはそんな関係じゃ…」
「アタシは幸村だなんて一言も言ってないけど」
「〜〜〜〜〜!!!」
 孫、完敗。
 まぁ、世の荒波を自分のやり方で生き抜いてきた豪胆な祖母には、人生経験の深さから言っても敵う訳がなかった。
「あの子なら別にいいんじゃないかね。誠実そうだし分別も弁えていそうだし…いざって時には頼りになりそうだし。お前みたいなラリホー娘でもキッチリ守ってくれると思うよ」
「何よ、ラリホー娘って……頼りになりそうなのは幸村さんだけじゃありませんよだ」
 どうしても幸村との淡い関係を指摘された事が悔しかったのか、桜乃はそう言う事で論点をずらそうとするが、言った事は嘘ではない。
 大会前に出会った立海メンバーと桜乃は、青学との戦いの結果に関係なく今も非常に良い関係が続いている。
 ひとりっ子だった桜乃は、まるで『お兄ちゃん』の様に接してくれる彼らに懐き、彼らもまた、素直な桜乃に優しくテニスを教えたり色々と交流を深めていたのだ。
 その中でも部長である幸村精市は特に桜乃の事を可愛がっており、誰よりも彼女の事を気にかけて、大事にしていた。
 そして、まだ恋人になった訳でもないし…と思ってはいるものの、桜乃も祖母のカマに引っ掛かる程度には彼の事を意識している様だ。
「真田さんや他の皆さんだって、凄く男らしくて頼りになる人ばかりだもん」
(で、ウチには例えに出してさえもらえない甲斐性なしばっかりかい…)
 この子の心の師である筈の越前ですら、男として見てもらえていないとは…別の意味で教育を誤ったかもしれないね…と、スミレは溜息をつき、そこで一つの妙案を思いついた。
「…そうだね、そこまでお前が世話になった相手なら、彼らも慰安に呼んでみようか」
「はい?」


 更にその夜…
「ふふ…で、俺達も温泉に誘ってみようって事になったんだ?」
『そうなんですよ〜』
 幸村宅…幸村精市は、自室にいたところで桜乃からの連絡を携帯で受け、いつもの優しい笑みを浮かべていた。
 夜に相手から電話が来るなど滅多にない事で、しかし久し振りに桜乃の声が聞けて、幸村は無条件でご機嫌の様子だ。
『あのう、ですからその内、お祖母ちゃんから無茶な連絡が届くかもしれません。お世話掛けてすみません…』
「ん、まぁ…迷惑とは思ってないけど…そういう訳か」
『え?』
 くすくす、と微かに苦笑いを浮かべた若者は、数分前の出来事を桜乃に告げた。
「いや、さっき君のお祖母様から温泉旅行の誘いのメールをレギュラー全員で受けたばかりだったから、何事だろうと思っていたんだよ。納得」
 直後、ばたっ!と向こうから何かが転んだ様な音が聞こえてきた。
「竜崎さん?」
『だっ…大丈夫です…っ』
 親友の参謀でなくても大体予想は出来る…祖母の行動力の速さに思わず卒倒しかけたと見た。
「気をつけてね。怪我なんかしたら折角の温泉旅行が楽しめなくなっちゃうよ…君も、そして俺もね」
『え…さ、参加されるんですか?』
 幸村の言葉を受けて、一瞬どもった少女の声が、おどおどと問い掛けてきた。
 声を聞くだけでもその様が手に取るように分かる…きっと、今頃は向こうで子犬の様にきょろきょろとせわしなく首を動かしているのだろうと思うと、自然に笑みが零れた。
 ああ、見たかったな…きっと、我慢できずに抱き締めてしまうくらいに可愛かっただろうに…
 そう思いつつ、それは口には出さず、代わりにちょっぴり悪戯な台詞を言ってみる。
「あれ? 俺達が行ったら迷惑かい?」
『そそそそそっ、そんな事ないですっ!!』
 案の定、向こうは大慌てになってそれを否定してきた。
 多分…携帯を握っていない方の手は、ぶんぶん振り回されているとみた。
『あのっ、来て下さるのは凄く嬉しいんですけど、幸村さん達にとってご迷惑じゃないかって…でもでも、私は本当に嬉しくて…あ、あ、でもその、女の子がこんな事言うのは、はしたないですよね…っ? ごめんなさいっ…!』
 ヤバイ…何かパニックになってきている…ついでにこっちも萌え死にそうでヤバイ…
「ご、ゴメンゴメン…大丈夫、そんな事思ってないから。ちょっと深呼吸して落ち着こうよ、竜崎さん」
『はう…』
 幸村の優しい言葉で向こうは少し落ち着いた様子だったが、若者はまだ高鳴る動悸を持て余している。
 どうしよう…こんなにどきどきしたら、眠れなくなっちゃいそうだ…まぁ自業自得だし、後悔もしてはいないけど、ね。
 そう密かに思いながら、彼は相手に改めて旅行には参加する旨を伝えた。
「別に無理強いされた訳でもないし、他のメンバー達も拒否どころか大賛成っぽいノリだったからね…気にしないで。当日を楽しみにしているよ」
『は、はい…私も、楽しみにしています』
「うん、じゃあね。お休み、竜崎さん」
『はい…お休みなさい、幸村さん』
 互いにお休みの挨拶を交わし、そこで通話は切られる。
「……お休みなさい、か」
 そう言えば、こういう挨拶を彼女と交わすのは初めてかもしれないな…凄く新鮮で得した気分だ。
 暫くぼんやりと会話の余韻に浸っていた幸村は、それからすぐに、床に就く事を選択した。
(今日はもう早めに休もう…)
 勿体無いから、一日の最後に言葉を交わしたのがあの子のまま、今日は眠ろう…
 彼女の声の残り香が消えない内に眠ったら…今度は夢で会えるかもしれない……


 そんな準恋人達の言葉が交わされた日から僅か数日後には、青学と立海の軍団一行は、貸し切りバスに揺られて一路、目的の温泉宿へと到着していた。
「うわぁ…流石、お祖母ちゃん…凄く綺麗な処〜」
「うむ、なかなかに風情のある旅館だ」
 バスから降りて思わず感嘆の溜息を漏らした桜乃に続き、立海の副部長でもある真田も彼女に同意した意見を述べた。
「おお、いいなぁ、こういういかにも日本っぽい感じ!」
「楽しみ〜〜!! どんな料理が出てくんのかなーっ!?」
「お前はそればっかりじゃな、丸井」
 メンバー達が手持ちの荷物を引き出しながら騒いでいる間に、幸村は誘ってくれた青学の顧問に改めて礼を述べていた。
「予想よりも遥かに素敵な処ですね…お招き下さって有難うございます」
「いやいや…まぁ長く生きるとそれなりの縁が生まれるもんでね、知り合いのつてで選んだんだが気に入ってくれて良かったよ。まぁ、ウチにも一名温泉には煩いヤツがいるからね、変な処は選べないだろう」
「成る程」
「ここには源泉があるらしいから、本格的な温泉が楽しめるよ。今日明日はゆっくりと身体を休めて英気を養うといいさね」
「そうしましょう、メンバーにも言っておきます」
 二人が話している処に、荷物を持った桜乃がとと〜っと走ってくる。
「お祖母ちゃん、お荷物持ったよー」
「ああ、じゃあ行こうかね」
「あ、竜崎さん。荷物貸して、俺が持つよ」
「え、でも…」
「いいからいいから」
 細い身体であるにも関わらず、軽々と自分の分と桜乃の荷物を持って、幸村はひょいひょいと軽い足取りで歩いて行く。
「…」
 さり気ない優しさと男らしさに桜乃がぽ〜っと頬を染めながら見蕩れている様子に、祖母が呆れて釘を刺した。
「…幾ら何でもまだ同室は早いからね。寝るのはアタシと一緒の部屋だよ」
「分かってますっ!!」
 そこまでふしだらじゃないもん!!と顔を真っ赤にしながら返事を返し、桜乃はむーっと拗ねたまま、幸村を追いかける形で旅館へと入った。
 館の中は清潔感があり、程よい照明で、内装も和風で落ち着いたものだった。
 豪華なホテルの様な煌びやかさはないが、いかにも通好みの温泉宿といった感じだ。
 少し先に見えるロビーからは、全面ガラス張りで中庭の様子が伺える。
 着物姿の仲居さん達も、てきぱきと動いているが余計な忙しなさは感じず、寧ろ微笑ましささえ感じる程だ。
「ええと…お部屋は…」
 どうなっているのかな、とフロントに来た桜乃に、先に来ていた手塚と幸村が彼女に気付いて振り返った。
「竜崎か」
「あ、お部屋はどうなったんでしょう?」
「君は竜崎先生と一緒に二人部屋だね…俺達は青学と立海に分かれて、大部屋二つ。フロアは同じだし、部屋も近いよ」
「わぁ…遊びに行ってもいいですか?」
「勿論だよ」
 そう幸村が答えた少し向こうでは、青学と立海のメンバーが相対して何やら盛り上がっていた。
「いーじゃん、この際枕投げで勝負しようぜ越前リョーマ」
「別にいいけど…温泉が先だよ」
「楽しそうだにゃあ〜、どっちの部屋に集まろうか」
「前もって部屋の備品は片付けておいた方がいいですね。傷つける訳にはいきませんから」
「うおおお、腕が鳴るぜ〜〜。テニスと違って当て放題だから、暴れまくってやる!!」
「うるせえぞ力バカ」
「んだとマムシーッ!!」
 どうやら、彼らの温泉後の楽しみは決まったらしい…が、それを聞いていた桜乃は、現場の凄惨な状態を想像して青くなっていった。
「……よっ…避け切れる気がしません…ついでに生き残れる気も…」
「いや! 別に強制参加じゃないからっ!」
 慌てて幸村がフォローしている処に、どうやらチェックインを全て済ませたらしい引率者でも或るスミレが全員に集合をかける。
「じゃあいいかい。各自、割り当てられた部屋に荷物を運んで、以降は自由に過ごしてくれて構わないよ。夕食は七時だからその時間までには大座敷に集合する、いいね」

『押忍!!』

 いかにも男らしい返事を全員が返して解散となった処で、桜乃はちらっとフロントの時計を見た。
(これだけ時間があったら、温泉でゆっくり出来そう…)
 やっぱり来た目的はそれなんだし…と、桜乃は部屋で落ち着いたらすぐに入浴する事を決めていた。

 一方、自分達の部屋に案内された立海軍団は、仲居さんがいなくなった後で早速部屋を色々と見て回っていた。
「お〜〜〜! すっげぇひっれ〜〜〜!!」
「これなら思い切り枕投げが出来そうッスね!」
 自分達の荷物を置いたまま、丸井や切原が賑やかに騒いでいると、早速真田が注意をする。
「少しは落ち着かんか! 竜崎先生に迷惑を掛けるような真似はするなよ!」
『へーい』
 適当な返事が返って来るところを見ると…迷惑は掛けないが、落ち着くつもりはないらしい…
「全く…少しは侘び寂びの心を理解してくれたらいいのだがな」
「ま、楽しみ方は人それぞれよ…ん、何じゃ幸村。もう温泉か?」
「うん」
 早速、部屋に準備してあった浴衣一式と入浴道具を抱えた相手に詐欺師が声を掛けると、向こうはあっさりとそれに対して頷いた。
「さっき案内を見てきたけど、凄く広い露天風呂があるみたいなんだ。最近何となく肩も凝っていたから、ここでゆっくり湯治していくよ」
「夕食までも中途半端に時間がありますからね…一度ここでさっぱりして夕食を摂るのもいいかもしれません」
 私もご一緒します、という柳生の言葉を皮切りに、他のメンバーもそれじゃあ俺達も、と、結局蓋を開けてみたら全員揃って露天風呂へと向かう事になった。
 彼らがぞろぞろと浴場に向かう途中で、同じく青学のメンバーとも合流。
「おっ、幸村じゃん。みんなもお風呂〜?」
「うん、そうだよ。結局青学も考える事は同じなんだね」
 菊丸達が平和且つ無邪気に話し合っている間にも彼らの歩みは止まらず、結構な数の集団が温泉へと向かって行った。
 そして更に先に進むと…
「あ、竜崎じゃんか」
「!…あら、皆さん」
 いそいそと同じく浴場に向かっているらしい目の前のおさげの少女…やはり竜崎桜乃だった。
「皆さんもお風呂ですか?」
「おう! おさげちゃんもかい?」
「はい、楽しみですねー」
 にこにこと嬉しそうに答えるところを見ると、本当に楽しみにしていたのだろう。
『…女性と温泉って、何かグッとくるんだよな』
『風呂上りの浴衣姿が楽しみだよな〜〜』
 ひそひそと小声で話しているジャッカルと丸井の台詞は男性陣全員の総意だっただろうが、無論、公にはしない。
「…今更だけど、竜崎って最近、やけに立海と仲良くないか?」
「さーね」
 桃城の問い掛けに、越前はぷいっとそっぽを向いてつれない返事。
 実は越前も、桜乃がここまで立海と仲良くしていると知ったのは今日が初めてだった。
 近場の学校であるならばともかく、神奈川と少し離れた距離である為、向こうの普段の内情は知り難い。
 越前も、桜乃があの学校の面子に、たまに会いに行ってテニスを教えてもらっている事も知らなかった訳ではないが、そんな事を詳しく訊く様な素直な性格でないのは周知の通り。
 すぐに運動音痴振りに呆れられるだろうと思っていたのが正直な処だったのだが…気がついたら彼女はあっという間に相手方の若者達と仲良しこよしになっていた。
 しかも今日のバスの中では、さり気なく立海側に桜乃が座らされていたばかりか、あの部長である若者とやけに親密そうにいちゃいちゃと…まるで…
「まるで恋人同士だね、あの二人」
「…」
 心の言葉を代弁するかの様に、さらりと割って入ってきた不二の言葉に、越前が更にイラッと苛立つ感情を匂わせる。
「別に関係ないでしょ」
 つーんっと突っぱねながらすたすたと先に歩いていってしまった後輩に、桃城が、あちゃ〜といった様子でそれを眺めた後、不二に目を向けた。
「不二先輩…ちょっと意地悪ッスよ」
「そうかい?」
「……越前に味方するつもりなんですか、それとも引っ掻き回したいんですか」
「面白ければどっちでも」
 そう言う不二は相変わらず柔らかな笑みを浮かべているだけであり、真意の程は分かりかねる。
 そんな処は、向こうの部長に似ているな…と桃城は思った。
(ま、越前にとっちゃどっちもメーワクだろうけど…)
 そんな会話が傍で展開されているとは露知らず、桜乃は変わらず立海のメンバー達と楽しげに話しながら温泉への入り口に到着した。
 勿論ここからは男女別となる。
「じゃあね、竜崎さん」
「はい、また後で」



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